乙一「失踪HOLIDAY」

tagosaku2004-07-14



 14歳の冬休み、わたしはいなくなった―。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は…となりの建物!!こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって…!?心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。
 失踪HOLIDAYとはまた自分のサイト名(漢字+英語)のようで、ちょっと恥ずかしいところもありましたが、今回も角川スニーカー文庫。最初に収録の「しあわせは〜」は、乙一氏もこのような生活を過ごしたのでしょうか、孤独な大学生の描写が実に上手です。なんというか、すぐ近くにいそうな存在。というか俺? 感動作です。後半の表題作でもある「失踪〜」は若干長めの女の子を主人公としたお話。最後にどんでん返しが待ってるところを除けば普通な感じなのだけど、角川スニーカーですからちゃんとハートフルなラストで、こちらも感動作に仕上がってました。好き。