石原慎太郎「太陽の季節」

tagosaku2003-12-17


 肉体の肯定と既成価値への不信によって表現される青年のストイシズムを描いた『太陽の季節』の芥川賞受賞は、文壇に大きな波紋を投じ、一般には太陽族の出現を招いた。いわゆる純粋戦後派の自己主張として戦後の文学、社会史に一時期を画した小説であり、新しい情操とモラル、新しい文学の華々しい誕生であった。本書にはほかに処女作『灰色の教室』、『ヨットと少年』など4編を収める。
 現東京都知事、石原氏の芥川賞受賞作を読了。表題作の『太陽の季節』は当時の熱狂ぶりを知らない人間としては、その凄さというか文学としての重要性というのはちょっと分からないところもあるが、当時の若者の姿がきっちりと描かれているのだろう。そのやんちゃっぷりは今も昔もそんなに変わらず共通するところがあるのではと感じる。『ヨットと少年』『黒い水』の二編は、ヨットの魅力が十分に伝わってくる作品。好きかも。