森博嗣「幻惑の死と使途」

tagosaku2003-08-10



 「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か?幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。引用。
 死体消失という題材からかもしれないけれど、森ミステリィというよりもそれこそマジシャンの作り出すイリュージョンを見せられたような読後感。死してなおその美しさを残す男の美学に惚れそう。英題の「ILLUSION ACTS LIKE MASIG」が何とも意味深に感じられてまたニヤリ。大好き。