森博嗣「夏のレプリカ」


 T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。引用。
 奇数章で構成されている「幻惑の死と使途」に対して、こちらは偶数章のみで構成されていて、上の「幻惑〜」とは対となっている作品。主人公であるはずの犀川&西之園はほとんど出てこず、西之園の友人、簑沢杜萌目線で描かれていた。ネタが両作品ともに「名前」について絡めているのも面白い。「幻惑〜」の奇数章、「夏の〜」の偶数章と順に読むとより面白いらしいけど、そこまでの気力がないのは現在溜まっている未読の本のせいかしら?上と併せて大好き。