筒井康隆「エディプスの恋人」

tagosaku2003-07-23



 七瀬3部作三部目。ある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになって---それが異常のはじまりだった。強い”意志”の力に守られた少年の周囲に次々と不思議が起きる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、あの”意志”の力に導かれていることに気づく。全宇宙を支配する母なる”意志”とは何か?裏表紙より。
 七瀬3部作を読了。1作目「家族」2作目「国家」と続いて3作目は「神」とまた壮大なテーマに驚く。またその神様たる”意思”の母親としての独占欲の強さに全知全能な神様の元人間臭さが現れていてニヤリ。今まで(この3部作中で)色恋沙汰がなかった七瀬が高校生に恋するという設定も面白かった。今回のテーマは壮大すぎたためか何でもアリのような気がしたのであまり好きではないかも。
 3部作順位:家族八景>七瀬ふたたび>エディプスの恋人

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