伊坂幸太郎 「重力ピエロ」

tagosaku2006-08-10



 半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残
されていることに気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…(amazonより)。
 飛行機の中で読了。毎度の伊坂節。話の中心はゲノム関係の会社に勤める兄とレイプされて生まれた弟で、重いストーリーではあるはずなんだけども、どうしても会話が軽くでその重さを感じさせないのは、技術、ってやつかしら。こちらもおなじみの引用もゴダールに芥川に映画から文学まで。知的な感性と素敵な言い回しの融合。悔しいけどやっぱり面白い。大好き。