本多孝好「真夜中の五分前」

tagosaku2005-06-12



 小さな広告代理店に勤める僕は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で失い、以来きちんとした恋愛が出来ないでいる。死んだ彼女は、常に時計を五分遅らせる癖があり、それに慣れていた僕は、今もなんとなく五分遅れの時計を使っていた。最近別れた彼女から、「あなたは五分ぶん狂っている」と言われたように、僕は社会や他人と、少しだけずれて生きているようだ。
 春樹チルドレン。本多氏の著作物は読んだことなかったのだけど、売れに売れてるみたいなので多少が興味あったところに、友人が持ってたってことで借りてみました。恋愛感情を書いたエンターテイメント小説と著者は言ってますが、これは恋愛小説のような。少なくともエンターテイメントとは思えなかったのが本音。全体的に春樹っぽさが漂い、言い回しは伊坂の方が巧み。ただラストの展開は、個人的に面白かったのです。好きかも。