乙一「平面いぬ。」

tagosaku2004-07-26



 「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。
 はいはい、これで一息、乙一作品。『石の目』の評を読むと出てくる単語の”和製メデューサ”のとおりに、見たものを石に変えるという設定から入り、実はほにゃららがほにゃららでというオチをつける優秀な作品です。『はじめ』はジャンプあたりで読んだ覚えがありますが、こちらも面白い設定ですよね。『平面いぬ。』は、モーニングさんみたく、何でも丸をつけりゃあいいってもんじゃないよって思うけれど、刺青の犬が動き回るのが何だか小説なのにコミカルに感じます。好き。