乙一「きみにしか聞こえない -CALLING YOU-」

tagosaku2004-07-18



 私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる"切なさの達人"乙一
 どうも乙一続きですみません。俺は携帯を持っていますが、全く鳴らない電話を手にして「私はひとりぼっちなんだ」と確信する毎日。そーいう意味でも”切ない”。とまぁ個人情報は差し置いて、どの短編も一つの発想から膨らましたように思える作品ですが、どれもこれもちゃんと一つ芯が通ってます。好きかも。