太宰治「斜陽」


 没落貴族の家庭を舞台に、真の革命にはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲愴な心情を四人四様の滅びの姿のうちに描く。
先日読んだ「晩年」の硬い文体とはうってかわって、女性の一人称の一人語りの文体で、とにかく道徳の革命を叫んだ作品。太宰本人を投影した直治の自殺に至る遺書というのは、自分の死の決意か。好きでも嫌いでもない。