池波正太郎「幕末新撰組」

tagosaku2003-10-17



 剣道の快感に没入した青春の血をそのまま新選組に投じた永倉新八の一生。女には弱いが、剣をとっては近藤勇以上と噂された彼の壮快な人生をさわやかに描いた長篇。初めて池波さん読みました。
 新撰組二番隊隊長の永倉新八の人情味溢れたところをあますとこなく描いた作品。藤堂平助に女を取られたり(結局はもらうけど)、芹沢が殺された時の悲壮感に、東京人らしい何とも人間味のある性格に好感を抱く。激動の幕末を生き残った後も、剣に生きた(と捉えていいのかなぁ)新八翁もなかなかに好人物。左之助との友情もカッコイイ。好き。とりあえずここらで時代小説は一区切り。今後は近代文学へ。