司馬遼太郎「燃えよ剣」


 司馬遼太郎の名著。幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百章上がりの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。 転載。
 新撰組という自らの剣に一生を注いだ、裏方、憎まれ役に徹する土方歳三の美学が非常に格好よい。自分の今やっていることもそんな裏方のこともかもしれないが、そこに美学を感じることの後押しになったような気がする。あとがきというか書評を読むとどうやらこの作品は「竜馬がゆく」と同時期に書かれたらしい。竜馬の生涯が光に照らされた生涯だったとするならば、土方の生涯は影のままだったが、個人的にはどちらかというと後者に美学を感じた。まぁその光と影をロック史に置き換えるのなら光のThe Beatles、影のThe Velvet Undergroundモーニング娘。に置き換えるなら光の加護ちゃん、影の辻ちゃんといったところか。例え下手なのはいつものことなのでご愛嬌。いや、引用したかっただけ。大好きな作品。

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 ちなみに未読で部屋にある小説は50冊以上あります。夏休み中に消化できるといいけど。