京極夏彦「姑獲鳥の夏」

tagosaku2004-09-09



 この世には不思議なことなど何もないのだよ――古本屋にして陰陽師(おんみょうじ)が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第1弾。東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)の医院に奇怪な噂が流れる。娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津(えのきづ)らの推理を超え噂は意外な結末へ。
 どれだけの方向からアプローチするねん。イントロでは主観と客観の量子力学にアプローチしてみたり、中盤では待ってましたの妖怪アプローチと、著者の知識の豊富さが伺える作品です。その知識の豊富さに引き込まれてトリックとかはどうでもよくなるのはどこかで嗅いだ臭い、ほらあれだ森博嗣氏と同じような臭いがするのだ。面白さは厚さとは関係なし! と思わせる作品。とにかくすげぇとしか。大好きです。