終わりなし


 1984ポーランド作品。反体制派によるスト事件を担当していた弁護士が急死する。悲しみに暮れ、ときに自分を見失ってしまう妻を、彼の魂は現世に残って見守っていた。事件は老弁護士に引き継がれ、やがて公判のときが来るが…。社会の有り様を見つめる冷徹な眼差しと、その中で生きる人々への慈愛が混然となり、重厚で、哀しく、そしてこの上なく甘美なドラマが展開する。キェシロフスキ4本目。
 キェシロフスキコレクションからのボックスセット収録もついに4本目。段々と政治色が薄れてきたようなところもある。最愛の人を失ってしまったことの悲しみとその夫に対する呵責。場面場面に現れる死んだ夫の姿は随分と前に見た「ベルリン天使の詩」がちょっとだけよぎった。なぜでしょう。好きかも。