夏目漱石「草枕」

tagosaku2003-11-25



 春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。
 こちらの本も先日読んだ太宰と同様に教科書に掲載されるような名著だけれども、30ページにも及ぶ注釈を見ながらの読書は結構きついものがあり、少々難解な印象を受けた(まぁ書かれてから100年も経ったしまった今日ではその使われている日本語が難解なのは当前なのだけれど)。しかし、その日本語は今使われている腐りきった日本語とは比べ物にならないほどの美しさ。教科書に使われるという理由が今わかったような気がする。好きかも。